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  • ★☆世界遺産・トレドの旧市街で異邦人画家グレコの名画を鑑賞☆★

by Junko Kitahama, 11.16.2002

もしスペインでたった一日しか時間がなかったら、ためらわずにトレドを見よ」といわれて いるほどトレドはスペインの歴史と文化が一点に凝縮して出来た美しい街です。 標高500mの高台に位置するトレドは、三方をタホ川に囲まれ難攻不落の城塞都市として 栄え政治・経済・文化の重要な拠点でしたが1561年首都がマドリッドに移るとともに政治 の中枢としての役目を終えました。以来、街並みは変わらず「16世紀で歩みを止めた町」 と呼ばれていますが今もスペイン・カトリックの総本山にふさわしく「大聖堂」がその権威を 誇示しています。

マドリッド・アトーチャ駅車からトレドまで鉄道で1時間15分。9月下旬に差し掛かっていた ので車窓からの眺めはすでに作物の収獲が終わり、だだっ広い平原が何処までも続いて いる風景でしたが時折通り過ぎる農家や小さな町並みを目で追いながら、パックツアーでは なく「自由旅」している自分がとてもゆったりとした気分でいられることの喜びに浸っていました。

トレド駅から旧市街に入るには15分おきに出ているバスを利用します。町の中心ソコドベル 広場で下車。サンタ・クルス美術館、アルカサル(城壁)はすぐ側です。カセドラル(大聖堂) にも6〜7分。そこから市庁舎をまわりこみ少し歩けばサント・トメ教会。ここでエル・グレコの 最高傑作「オルガス伯の埋葬」を観ることが出来ます。トレドを散策しながらエル・グレコの 足跡をたどってみるのが今回の私の目的でした。100mほど先にはエル・グレコの家があり 再現されたアトリエや「キリストと12使徒」「トレド風景」など20点程の作品が見事に修復された 16世紀そのままの建造物の中で整然と展示され、その迫力に圧倒され、また感動!でした。

 
▲どっしりとした駅舎・国鉄トレド駅   ▲トレド市内・石畳の狭い通りが続く 

* お土産にたくさん買った小さな絵皿
http://www.j-newyork.com/picture/Toledo3.jpg

私が初めてグレコと出会ったのは倉敷の大原美術館。たった一枚のグレコの絵「受胎告知」 を観た中学生の私はその絵に吸いつけられるように前に立ったまま、しばらく眺めていた記憶 があります。大天使ガブリエルを見上げるマリア様の目が実に美しく描かれていました。グレコ は熱心なキリスト教徒であったため宗教画の大作を手がけ、名を成すことを夢見ていたという だけあってどの作品もキリスト崇拝と独自のタッチ、色使いが迫力を感じさせ、見る人の心を 引き付けるのです。後にニューヨークのメトロポリタン美術館(MET)でグレコの絵を一度に5〜 6点観たときの喜びと興奮は今でも忘れられません。それからはMETを訪れる度ヨーロッパ 絵画の「グレコの間」と自分で名づけた部屋に必ず足を運んでいます。

画家「エル・グレコ」について
エル・グレコ(本名ドメニコ・テオトコプーロス1541〜1614)はギリシャ・クレタ島出身の画家で 青年時代ヴェネツィアでティツィアーノに絵画を学んだ後35歳でスペインに渡ってきた。 宮廷の装飾画家としてトレドにやってきたグレコだったが当時トレドは黄金期を迎えたスペイン の宗教と文化の中心地で、ヴェネツィアがティツィアーノを、ローマがミケランジェロを抱えたよう に才能のある画家を求めていた。そこにグレコが現れたわけで、彼の画家人生の扉はここで 開かれた。野心と絵画への情熱が強かったグレコは73歳で没するまで贅沢な暮らしができた というが晩年はスペインの斜陽化につれ注文も激減。没後1人息子に残されたのは200点を 越える絵と多額の負債だけだったという。

グレコの描く人物はどれも頭が小さく体が長い。またその姿勢は芝居がかり絵自体の構図も よじれている。これはもちろん欠点ではなく現在では美点として評価を受けているが実は グレコ独特のタッチが生まれたのは彼が乱視であったためというのが定説になっている。 また独特なのは絵ばかりではなく本人も同じで、異国であるスペインではある種変人扱い されていた。エル・グレコとは「あのギリシャ人」と言う意味で、自尊心の強い彼は自身の作品 には必ず母国語のギリシャ語でサインを加えていた。

トレドの町は石畳で細い路地が何本もあり道に迷ってしまいそう。でも安心…何処からでも カセドラルの塔が見えますからそちらに向いて歩いていけば必ず町の中心に出ます。 カセドラルの聖具室にはグレコの「聖衣剥奪」ほかスペイン絵画の巨匠ゴヤ、ベラスケス ファン・アイクなどの作品も展示されています。町の北東にはグレコが眠るサント・ドミンゴ・ エル・アンティーグオ修道院があり、アルカサルの近くにあるサンタ・クルス美術館では 「聖母被昇天」、ソコドベル広場から12〜3分で行ける城壁外にあるタベラ病院にもグレコ の絵があります。

今回私は行かなかったのですがタホ川を渡った向こう岸にあるパラドール(中世の城、修道院 貴族の館など歴史的建物を改装した国営ホテル)のカフェテラスからはグレコの絵「トレド風景」 そのままの美しいトレド市街の全景が望めるので時間があれば是非行ってみてください。トレド は1日あれば充分見て回れる広さですが出来ればパラドールに一泊してもすてきでしょうね。 日本から予約も出来ます。詳細は 
http://www.gtahotel.com/parador/frame2.htm

スペインはパラドール、ポルトガルはポウザーダに泊まる時にはちょっと注意したいのが部屋 の格差です。お城や貴族の館といっても部屋には大小がありまた主寝室や客間ならいいの ですが、メイドや執事用の部屋だってあるわけで…超豪華なお部屋になるか、「ン?」って お部屋になるかは”運”次第ということがあることも覚えておきましょうね。 では次回はバルセロナへ飛びます、お楽しみに。

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