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  • Le Frite Kot
by Kozue Endo in New York, 7.1.2000


日本は梅雨のようです。毎日雨が降ると気持ちまでジメジメしてきますよね。 そんな時、私はビールを飲んでさっぱりすることに決めています。いえ、どんな時でも「ちょっと1杯」は美味しいものなのです。

NYともなれば米国内の地ビールから世界各国のビールまで楽しむことができるのがなんといっても醍醐味ですね。ついでにおつまみだってよりどりみどり。そんな中、厳選したメニューをそろえているのが、ここ「Le Frite Kot」。NYUがあるワシントン・スクエア付近のフライドポテトのファースト・フード店です。他にも、もちろん店内にタンクを用意したビアホールや、様々な味が楽しめるお店が数多くありますが、今回はあえてこのフライド・ポテト屋に焦点をあててみました。

「厳選したメニュー」と述べましたが、ここでのおもな注文は3つ。フライド・ポテト、ムール貝、そして、ベルギービール。ビール好き&芋好きの私はこのメニューを聞いただけで既に目の前にはこの3つが並んでいることしか考えられなくなる程の状態。高カロリーのこと?NYに来てなにをいっているんじゃい。ということで、そういう方のコメントは無視させていただいて、話を進めましょう。

まず、フライドポテト。ここは他のフライド・ポテト専門店と同じくオーダーしてから、揚げてくれるのでいつでもアツアツをハフハフ言いながら、ポテト自身にはそんなに味はついていませんから、お好みのソースを付けていただきます。。このソース達がなかなか曲者で、中でもオリジナルのガーリック&マヨネーズがいけます。他に「タイ風ソース」と称したソースは、カレー風味が好きな人にはよいかもしれません。個人的にはちょっと多めに塩をふり、マヨネーズとケチャップを混ぜたものが一番ポテトに合う気がしています。この食べ方は日本ではあまり一般的ではないかもしれません。でも、ぎょっとしないように。私の大学での周りを見渡す限り結構みんなやっています。ポテトの大きさはS・M・Lとあり、Sで大体$3位。某MaCのサイズとは比較にならないほど大きなSですから、店内にある見本でどれくらい食べられるかご自分の胃袋と相談をしてから注文するようにしましょう。

次にムール貝をオーダーします。ちょうど今頃、初夏がシーズンのようです。ここでは、何種類かのハーブを入れバターをからめて酒蒸しにしたものが、ちいさな鉄のバケツに入ってやってきます。使いこなされたバケツと、バターが光るムール貝がなんともすばらしく、私はいつもできたての湯気の出ているバケツをしばし呆然と見つめてしまいます。ムール貝をバケツ一杯とは、豪快ではありますが、気が付いたらもう2、3個しか残っていない!という状況になるのはいつものこと。固すぎず、柔らか過ぎず程よく火の通されたムール貝の身歯ごたえが、次から次へと食べ進めてしまうのです。そして、ちょっと邪道かもしれませんが、底に残るスープがやめられなくなります。ムール貝のだしと、バターと白ワインとが絶妙な味を醸し出し、日本人の舌なら見逃す手はありません。このまま、このスープだけを持ってかえりたい!と何度ねがったことでしょう。

さて、最後にビール。ここでは、3種類程のベルギービールが用意されています。ベルギービールは比較的濃厚な味がします。ところが、ポテトとムール貝と合せて飲むと意外とさっぱり、ばっちりの相性です。ビールを飲まない人にはレモネードも用意されているので、暑い夏の夜には2Fの客席で涼んで、日本に詳しい店長とおしゃべりなどをしながら楽しい時間を過ごして下さいな。

私はここで初めてベルギー料理&ビールと出逢い、すっかり魅せられてしまいました。そこで、NYにあるベルギー料理屋をさがしたところ2軒あることがわかりました。SOHOにあるボルガは有名ですから、もうひとつの隠れ家のようなお店をご紹介しましょう。13丁目とグリニッチアヴェニューが交わるところにひっそり建っています。じつは、ここのお店のポテトが今までに食べた中で一番美味しい。しかも、無料!つまり、イタリアンで注文すると、お料理が来るまでパンを出されるのと同じように、ここではフライド・ポテトが出されるのです。これがお金を払って食べるものより美味しいのはちょっと悔しいけれど、レストランの強みともいえましょうか。ここではソースなしでも充分なスパイスがきいています。ビールの種類も先述のファースト・フード店より多種多様ですから、一皿ごとにビールを変えていくというようなこともできないことはありません。また、ムール貝も様々な野菜やスパイスとの酒蒸しが用意されています。はっきりいって目移りしてばかりなのです。そういうときは、思う存分目移りしましょう。どれをとっても外れることはまずないと思います。中でもお薦めはスモークサーモンとホワイトソースのパスタ。シンプルなのに、ガツン!とパンチをくらう美味しさでした。なんだ、お芋とムール貝だけがベルギーじゃなかったのね。なかなかやるじゃん!うーん、ますますベルギー料理はまりそうだぞ…と、ビールをぐびぐびやってしまうのでありました。なんだかビールについてまだまだ語っていたいなぁ…。次回はドイツ料理でも紹介しようかなぁ。

註:「Le Frite Kot」の住所は148 West 4Th Street (Bet. 6th Ave. and MacDougal)電話番号は(212)979-2616。夜中になるとちょっと雰囲気があぶなさそうなので気を付けていきましょう。





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