|
|
|
■ニューヨーク食べ歩き■
by Kozue Endo in New York, 7.15.2000
夏ですね。夏が始まりましたね。さて、突然ですが、どうして、このメルマガの「NY食べ歩きコラム」はマイナーな所ばかり紹介されているんだろう?と疑問をお持ちの方へ。私はあくまでもこの路線を突き進むつもりです(今のところは)。有名店や話題の店にも足を運んでおりますが、そういったお店は数多くのNYガイドブックにも載っていることでしょうから、このコラムでは地元ならではの味をご紹介しましょう。
ということで、今回は中華料理に焦点を当ててみました。中国は広く、中華料理は4千年の歴史を誇り・・・云々・・・中でも「小龍包」にしましょう。日本語ではショ ウロンポウ、中国語ではシャオロンパオと発音します。小龍包とは、上海料理のひとつで、簡単に言えば蒸し餃子の「ようなもの」ですが、皮はもう少し薄く、形は日本料理の巾着卵のように先端がすぼまったように閉じられ、中の具には豚のひき肉、カニのすり身、背油が詰まっています。ああ、もうおなかすいてきてしまった。大きさはちょうど人差し指と親指で丸をつくったよりちょっと大きめのでっぷりとした円錐形です。その小龍包が白菜でしきつめられた蒸し器でアツアツに蒸されて登場されるのです。
さて、食べるとしましょうか?おっと、気をつけて!包子の中では背油が溶けて肉汁と一緒に大量のスープとなっていますから、餃子やシュウマイを食べるのと同じようにパクッと齧ってしまいますと、大抵は液体が飛び出て火傷します。猫舌の人におすすめの食べ方は、まずタレを軽くつけた後、レンゲの上に小龍包を立ててのせ、液体が下の方にたまったことを確認してから上をちょっとかじります。すると穴ができますね。その穴からフーフーと息を吹きかけ、具と液体をさまします。この時さましすぎないように。「もうそろそろ食べごろかしら?」というあたりで、一口でパクリ!小龍包をじっくり味わってください。ジューシーな具のほんわりとした中国4千年の味わいが口いっぱいに広がるはずです。皮はかなり薄いので取り扱いにも注意しましょう。白菜にくっついているからといって、少しでも強く引っ張って蒸し器から取り出そうとすると、たちまち皮が破れてせっかくの肉汁が流れ出てしまいますからね。小龍包を味わう極意はこのスープを味わうことにあると、私は思っています。
なお、みなさんがこのような食べ方をしているわけではありません。ふと、周りを 見渡すと猫舌ではない方はパクリと一口で召し上がっていることが多いのです。ま、一度お試しください。さて、この小龍包。私は初めて食べたのは上海でした。それ以来、やみつきになってしまい、上海滞在中、小龍包を食べ歩いたのはいうまでもありません。日本の天丼や親子丼と同じく、定番ではあるものの、店の味がそのまま看板になるメニューですから、店は気を抜いてはいられないようです。なかなかに楽しみました。ところが、日本では高価で、しかも、満足する質の小龍包を見つけられずにいたのでした。そうして、世界最大といわれるNYの中華街で私が納得のいく小龍包とめぐりあったのが「喬家柵」です。
場所はCanal St. と Mott St.の交差点を南に1ブロックさがったところにあ るこじんまりとした店です。席数は50席あるかないかという規模ですが、味はどこにも負けないと思います。お店のスタッフも他の中華料理店とかわらず愛想が良いとは言い切れません。が、値段も味も追従ゆるさじ!といったところ。ランチで行くなら一人でひとつの蒸し器(8個入り)は軽くいけます。むちゃくちゃお腹がすいている人には足りないくらいかもしれません。そのときは、前菜として「白菜の甘辛炒め」や時期であればソフトシェル・フライなども注文してみてはどうでしょう。でも、メインは小龍包であることをお忘れなく!
小龍包といえば、中華街やマンハッタン内に何件も支店をもつ「JOE’S 上海」が有名ですね。大抵のガイドブックに載っています。こちらのお店の味も有名なだけあってなかなかいけます。他の豆腐料理の様々に用意されていますから、中華づくしが目的の方にはよいでしょう。ただ、ここは、週末ともなれば長蛇の列で、お腹をすかせてから列につくのでは、席につく頃には、放心状態になっているはずです。私もそんな一人でした。そんな時は、ちょっと時間をずらして、「喬家柵」に向かいます。お昼時には、「喬家柵」も列ができることがありますが、少し待つだけで席につけます。大抵は、小龍包が目当てのお客さんですから、回転が速いのでしょう。しかし、ゆっくり食べたい人もあせることはありません。しっかりフーフーとさまして、火傷をしないようにいただきましょう。うーん、やっぱりお腹がすいてきたぞ。
|
|
|