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■ニューヨーク食べ歩き■
by Kozue Endo in New York, 7.29.2000
NYでは美味しい料理もたくさんあるけれど、中には「これは一体何なの だ…?」という料理にでくわすことも多い。例えば、「TENPURA PLATTER」 (天ぷら盛り合わせ)と称されるカリフラワーとブッロコリー天ぷらの山盛りや(しかもコロモも、具も火がしっかり通っていない)、ズッキーニのお味噌汁など。私は日本文化&アジア文化で育ってきているから、やはりカリカリのコロモの海老天がThe
King of TENPURAに違いなく、お味噌汁といえばお豆腐にワカメにちょっと小口ネギが一番な訳で。あ、でも基本的には美味しかったらそれはそれでよいのだ。が、日本料理もダテに2000年やってきているわけじゃないので、やはり味噌に合う食材というのがあるんじゃないでしょうか?と「なんじゃこりゃ」料理に出会う度に私は思うのであった。
まあ、そういった実験的メニューからいくつかヒットも登場しているけどね。例えばカルフォルニアロール。アボガドをメインにカイワレ大根と卵焼きをのりを内側にして巻いたお寿司で、アボガドのこってり具合と、外側のごはんについている胡麻の香ばしさがなんともいえない。きっと日本人に一番合うアボガドの食べ方なのでと思う。もとは、生魚を食べ慣れてなかったり、海苔の食感を不快に感じるアメリカ人向けにカルフォルニアのお寿司屋さんが開発したものだけれど、今や大抵のお寿司屋でみつけられるようになってしまった。日本とアメリカの食の「フュージン」ってことかしら?
フュージョンというと、NYの十八番の1つだと私は感じている。音楽や絵画など芸術の分野でも、何かと融合した時に現れる新しい形に人は惹かれるし、食も然り。トップクラスのシェフの中でも好奇心あふれるチャレンジャーは、いつも新しい食材や料理方法を研究し、芸術品と同じように、私達へ披露してくれている。うーん、だからNYはおもしろいのだ。
さて、前振りが長くなった。おもしろいフュージョンのひとつ、「アジア・デ・ キューバ」(ASIADE CUBA)をご紹介しよう。ここはモーガンズ・ホテルの1階にさりげなく、しかし、なんだか印象的に存在しているレストラン&バーである。基本的には「中華料理っぽい」のだけれど、お肉を煮込む際にフルーツがたくさん使われていたり、ソースにココナツミルクが使われていたり、味はなんだかラテンのような熱い雰囲気を感じる料理をだしてくれる白と光で装飾されたレストランである。私が試したのは、魚の姿揚げにチリソースがバシッとはいっているもの。姿揚げというからもちろん、ちゃんと頭がついたまま揚げられていた。アメリカ人は基本的に魚と目を合わせて食事をすることに慣れていないせいか、レストランで食べる魚は、いつもきれいな身だけが登場する。私も、いつの間にかそういった環境に慣れてしまったのだろう。皿が運ばれて、魚と目が合った時は、かなりドキッとしてしまったのである。(あんなにサンマが大好きだったのに…。なんとしたことだろう。)ご心配なく。味は魚の目のことを気にしなくなるほど美味しい。けど、かなり辛い。他には、ポークが甘めのソースで焼かれているのもあったりと味の幅はなかなか広い。なんてったってフュージョンですからね。また、前菜やサラダもかなりバラエティに富んだ品揃えのようである。ゆっくり選んで下さいな。
私がこのレストランが好きな訳は、1)お料理が美味しくて、面白いこと。2)お店 が適度な広さで、開放感がある。なんとなくルーズな感じなのに、だらしなさ過ぎずに格好良く寛ぐことが可能であること。3)カクテルが美味しい。の3点。特に、(2)を備えているお店はなかなか見つけるのは大変。もちろん、TPOによってその寛ぎ度合いは変わってくるよ。私だったら、ここアジア・デ・キューバには、仲のよい友人2、3人と、ちょっと豪華に、変わった料理でおもしろくやろうぜ!という時や、長く付き合っている彼と結婚を決めたので、まず一番仲のよいあのカップルに報告しよう。ついでにウェディングパーティのことも相談しちゃおうかなぁって時に利用したいなぁ。(って、どんな時じゃ??)ま、実体験に基づくか否かはともかく、このレストランのかもしだす雰囲気はちょっと濃い。白と光でこれだけの雰囲気をつくれるものだろうかと思う。お互いの趣味が一致する人とワイワイ楽しく行くのが賢明であろう。
また、魅力の3でも言ったようにカクテルが美味しい。ちょっと小さ目のバーが端の方にある。光に包まれたそのドリンクカウンターは、お酒のボトルや、中のアルコールがきらきらしていて綺麗なのだ。その光吸い込まれるようにして、私は何杯かぐいぐい飲んでしまった。これこそ、「飛んで火に入る」というのだなぁ。
最後に残念なことを言うようだけれど、ここでお食事をしようと思うなら、予約することをお薦めする。なぜならいつもかなり混んでいるからである。週末はかなりの人出なので、できるなら平日がよいであろう。そうして白と光の空間を楽しんでもらいたいのである。また、白でちょっと目がチカチカしてきちゃったよ。どこかで飲み直そうよ。という方には、同じビル内の地下にあるバーも良いかもしれない。こちらはイメージ的に黒の世界。最近はロックをボリューム一杯にかけて折角の雰囲気を台無しにしているようだけど、平日に行けばじっくり腰を落ち着けられるでしょう。バーのドアを開けた瞬間に大音量が聞こえたら、即刻立ち去るべし。
このレストラン&バーは言うまでもなく、夜向きである。お腹が膨れて、夜がふけて、外に出てみると、ミッドタウンの夜景が垣間見ることができ、「NYって美味しいくて、楽しい街だなぁ」としみじみ感じている自分がそこにいるでしょう。
ASIA DE CUBA
at Morgans
237 Madison Ave. (at 37 St.) ホテルの正面玄関向かって右
(212) 726-7755
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