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■ニューヨークレポート■
- NYU(New York University)の留学生避妊教育オリエンテーション体験記!
by Yoko Idate in New York, 4.8.2000
アメリカのどの大学でも新入生留学生が出席する事になっている大学の留学生課主催
の留学生オリエンテーション(International Student Orientation)は新学期が
始まる10日ぐらい前から毎日連続して行われる。 別に出欠席が個人の成績に直接響
くわけでもないことを知っているので、私は時間が空いて気が向いたときだけ適当に
出席していた。 オリエンテーションの内容はビザの手続き、健康保険情報、キャン
パス内の治安情報、キャンパスツアー、校舎の屋上でのバーベキューパーティー、ラ
ンチディスカッションなどなど。 一日だけでも3セッション以上はあり、他にも
色々あったはずである。 1997年度秋学期の留学生新入生の数ではNYUは全米一(大
学全体で5,144名)となり、それだけにオリエンテーションの数も多かったのかも知
れない。 地域別内訳では上からアジアが55.66パーセント、ヨーロッパが20.86パー
セント、ラテンアメリカが10.28パーセント、中東が5パーセントなどである。
ほとんどのオリエンテーション自体は私にとってはそれほど面白いとは言えなかった
が、ひとつだけ印象に残ったオリエンテーションがあった。 そのオリエンテー
ションにどんなタイトルがついていたのかは忘れてしまったが、きっと“女性の健康
000”か何かだったのだと思う。 20名弱ぐらいの出席率だっただろうか。 皆が
席に着いた途端、プレゼンターの女性が彼女の目の前の大き目の机の上に次から次へ
と見たこともない避妊用具を並べ始めた。 そしてひとつずつ目の前でそれらをど
うやって使うか(パートナーに使ってもらうか)を男性女性それぞれの性器の模型を
使って丁寧に説明し始めた。 日本の中学校あたりの保険の授業でちらっとコンドー
ムの使い方のプレゼンテーションぐらいは見たかしらぐらいだった私は、それ以外の
珍しい、時には生々しすぎる大小の様様な避妊用具を次々と見せられてまるで手品で
も見るような感じだった。
そこで私がもっとも印象に残ったのはそれらのものよりも、むしろ留学生の各国ごと
の教室での反応の違いだった。 私は日本人の友達のMさんと一緒に並んで座って
いて彼女も私も最初から最後までずっと座って食い入るように眺めていて、時にはお
互い照れ笑いぐらいをするぐらいだった。 ところがプレゼンテーションが始まる
なり、韓国人や香港人などの他のアジアから来た生徒は明らかにしかめっ面をしてお
り、始まって10分もしないうちに侮辱されたような顔着きで教室を去ってしまった生
徒がほとんどだった。 性に関してリベラルな北欧からの留学生は私が珍しげに見て
いる避妊用具の情報ではとっくに物足りないらしく、より詳しいことを率先してプレ
ゼンテーターに手を上げて真剣に質問していた。 クラスの最後には日本人以外のア
ジア人留学生はほとんど残っておらず、対して、クラスが終わってもまだ熱心に質問
しつづけている北欧からの留学生がいるのは印象的な光景だった。
この手の留学生向け避妊教育は国によってはエイズ教育を含めたアメリカと同レベル
の避妊教育がなされていない危険性をうちの大学の留学生課が考慮して行なったので
あろうか。 もしアメリカレベルの性病予防を含めた避妊等の良質な性教育の情報を
知りたければこのウェブサイトが大変参考になるはず。 (Society for Human
Sexualityのホームページ: http://www.sexuality.org ) あの後同じニュー
ヨークにある大学の留学生の友達にこんなオリエンテーションはあったか聞いてみた
けれどコロンビア大学もニューヨーク市立大学の友達も聞いたことがないと言ってい
た。 ちなみにアメリカの大学の診療所、カウンセラー室や寮等には無料のコン
ドームがご自由にお取りください状態のキャンディーのように置いてある。
Yoko Idate (NYU、国際教育学科修士課程卒業生)
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