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  • 中世の神秘な落ち着きを湛える美術館
by Junko Kitahama, 9.30.2000


*クロイスターズ(The Cloisters) 月曜休館(212)923−3700
 9:30〜17:15(3〜10月)  9:30〜16:45(11〜2月)

メトロポリタン美術館(MET)の分館として建てられたこの美術館はマンハッタン 北部、フォート・トライオン・パークの一角にハドソン川を見下ろすように建って います。METを訪れた同じ日にここにくれば入館は無料。METでもらったバッジ を無くさないように!でもクロイスターズには少なくとも半日は費やすつもりで訪れ てほしいのです。もちろんお天気のいい日にランチボックスを持って行けば最高で しょう。なぜなら公園の中にある美術館なので、南側には芝生の広場があり家族 連れやカップルでピクニックに来ている人も多いのです。簡単なカフェも広場の近 くにありますが週末はいつも満席。

マジソン通りからM4のバス(Ft.tryon Park-Cloisters 行)に乗り終点が美術館の 真前。または地下鉄Aライン190st下車、徒歩10分。バスを利用すればセント ラルパークの最北110stからブロードウェイ通りを北上するので車窓右手にコロ ンビア大学の建物が見えて来ます。校内はともかくこの辺りは「一人歩き」がお勧 できない地区なのでバスの中からの観光もいいんじゃないでしょうか。

クロイスターズとは回廊、修道院を意味する言葉。実際にヨーロッパ中世のキュ クサの回廊(ピレネー山脈にあるベネディクト派修道院サン・ミッシェル・ド・キュ クサの回廊)、ランゴン(フランス・ジロンド)の礼拝堂、フェンティヤドゥエニャ (セゴビア)の礼拝堂など遺跡を組み合わせて造られています。展示コレクションも 絵画をはじめ金工品、タペストリー、ステンドグラスなどがあり、中世美術がもとも と建築の中でどういう位置に置かれどういう機能を持っていたかがよく分かるよう になっています。

私が初めてここを訪れたのは10月中旬のこと。キュクサの回廊側から薄暗い タペストリ−ホ−ルに入りまだ暗闇に慣れない目で壁を見た瞬間、白く浮き上が った「ユニコ−ン(一角獣)」が視界に飛び込んで来て思わず釘付け状態になって しまいました。その悲しそうな眼差し、傷ついた体から流れる血・・・この「一角獣 狩り」、連作7枚中の3枚目に当たるもので狩りが始まって猟師たちに包囲された 一角獣は逃走するが殺され、最後に蘇るというストーリー。この伝説はキリストの 受難を示しているといわれ、プロテスタントではあるけれどクリスチャンの私には 何か強く訴えかけるものがあり、それから度々、彼(!?)に会いに行っています。

薬草やハーブ約250種類が植えられているボンヌファン回廊の中庭は初夏〜秋 まで楽しめ、中でもQUINCE TREEは5月初め薄いピンクの美しい花を咲かせ10 月には青林檎に似た実をつけます。中世にはこの実からマーマレードやジェリー が作られたそうです。この庭からはハドソン川が望め、新緑、紅葉頃はベスト ・フォト・ポイントのひとつ。トリーの回廊の中庭にはユニコーンのタペストリーに 描かれているのと同じ植物が植えられています。各回廊のベンチに座り、ゆった りとした気分で庭を眺めていると自分も中世にタイムスリップしたような気さえして 来る不思議な空間です。

帰りにミュージアム・ショップに立ち寄るのを忘れないで!ここでしか買えないグレ ゴリオ聖歌のCDやハーブ関連の書籍、カードなど見逃せないものがたくさんありま すよ。

次回はJunoの「NYで味わう日本の美と食」でお目にかかりましょう。





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