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■アメリカ旅行記■
- アメリカ横断ドライブ編(1)
ニューヨーク 〜 リッチモンド
by Hironobu Hamada in New York, 9.30.2000
この旅行記は、2000年の夏までNYのコロンビア大学大学院に留学していた筆者による、
LAまでの6000マイルにも及ぶアメリカ横断ドライブの記録である。
2001年の春まで、1日ごとにメルマガの形で発行されました。
ニューヨークを出発したのは8月19日、まず南に向かい、フロリダから
西に向かいました。その後、テキサスからニューメキシコに入り、そこから北に向かって
コロラドを通り、ロスに到着したのは9月の初旬です。走行マイルは6000マイル
(約9600km)を超え、途中、マフラーが折れたり、タイヤがパンクし、デスバレーでは、
砂漠の真中でエンジンがオーバーヒートしてそのまま車が動かなくなってしまうという
アクシデントにあったものの、一枚もチケットをもらわずにすんだのは幸いで、
毎日が新しい発見の連続だったと思います。”アメリカは地域によってこんな
にも異なるのかあ”、と思いながら走っていました。
本題の旅行記に入る前に、ここで簡単にアメリカでのドライブの注意点を説明
しておくと以下のようです。
(1)右側走行で左ハンドル。ウインカー、ワイパーなどすべて左右が逆。おそ
らく日本からアメリカにきて初めてドライブする人は、ウインカーを出したいときにワイ
パーを出してしまう!
(2)ガソリンは非常に安い。1ガロン(約3.8リットル)あたり、$1.2 〜 $2
程度(2000年夏の価格)である。
(3)ガソリンは州によって異なるが、基本的に自分で入れる。ニュージャージーは
アメリカの中でも値段が非常に安いにもかかわらずすべてのガソリンスタンドで
ガソリンを入れてもらうことができる。おそらく州政府がセルフサービスを許可して
いないからだと思われるが、このような州は他に西海岸のオレゴン州がある。
(4)モーテルはインターステート沿いはもちろんのこと、砂漠のど真ん中などを
除いて基本的にどこでもある。したがって、その日の予定をきっちり立てて予約をしな
くても、いけるところまで行って適当なモーテルを探すというやりかたで全く
問題はない。しかしながら、値段の交渉は注意が必要で、モーテルによっては最初$10
ぐらい水増しした値段を言ってくるところもある。私は、かなり安いと思ったとき
でも即答しなかったら、数秒後に$10を引いてもらった。このような交渉がうっとう
しかったら”Motel6”というモーテルを利用するのがいいと思う。ここは、値段表が
壁に貼ってあるからである。しかも値段は安く、部屋もきれいである。
(5)アメリカは、道路によっては85Mile/Hour(約140km/Hour)から105(約180km)
ぐらいは出るが、スピード違反の取り締まりは結構厳しいので、常に後ろを見てい
たほうがいいと思う。注意はパトカーだけで、日本のようなオービスはなかったと
思う(?)。
(6)インターネットは、フリーで利用でき、どうしても旅先でメールチェックを
したい人は出発前に、http://www.netzero.net や http://www.bluelight.com
あたりと契約しておけばいいと思う。モーテルはローカルコールフリーのところが多いの
で、大都市のモーテルに泊まればプロバイダーのアクセスポイントがあり、
無料でインターネットにアクセスすることができる。ちなみに、私はネットゼロを利用した。
(7)これは結構重要なポイントなのだが、スラム街に迷い込むことには、注意が
必要である。私も実は初日にスラム街に迷い込んでしまい、かなりやばそうな雰囲
気を体験した。
(8)インターステート(州間高速道路)よりも、フェデラルガバメント道路(日
本の国道に相当)や州道を通ったほうがいいと思う。土地に密着して走るからである。
また、景色のきれいなところも多い。
(9)レンタカーの予約はインターネットででき、私のおすすめは、AVISである。
http://www.avis.com ちなみに、アメリカのレンタカーの値段は非常に安く、西海
岸あたりだと一日$35程度からある。
(10)英語の問題。これを心配する人は多いと思うが、基本的に論文を書いたり、
アメリカ人とディスカッションをするわけではないので心配は必要ないと思う。
ちょっと道を聞いたり、モーテルでチェックインするだけの中学1〜2年程度で
十分である。
上記のように、アメリカのドライブ旅行は非常に簡単なので、この記事を読ん
でいる人も時間があればアメリカドライブにチャレンジしてみてください。
世界観が変わることは間違いありません。
それでは、アメリカ旅行記 大陸横断ドライブ編のスタートです。
*8/19(Sa) New York City, NY 〜 New Jersy 〜 Pennsilvania 〜 Maryland 〜
Washington D.C. 〜 Richmond, Virginia, 409 Mile
この日の前日、つまり、LAまでのドライブ旅行に出発する日の前日は友人の家に
泊まった。数年すんだNYのアパートを前日にチェックアウトしたからである。
もろもろの事情でNYに戻ってくるのは年末の予定である。したがって、その日は
かなり感慨深いものがあり、また、昨日飲んだアルコールが少し残っており、
気分爽快とは言いがたかった。
しかしながら、天候は快晴で、前日の大雨がうそのようである。これは、
余談であるが、私は今回の旅行で天候にはかなりめぐまれていた。ほとんど
雨が降らなかったからである。そのような天候の中、私と友人は朝の
11時ごろにマンハッタンのアッパーウエストサイドを出発した。友人は、
サウスキャロライナのチャールストンという町に友人がいるため、途中まで
ドライブに付き合うことになった。ウエストサイドハイウェイからジョージ
ワシントンブリッジを渡り、ニュージャージー州に入る。何度も通った
ルートであるが、しばらくマンハッタンから離れると思うと、そこから
見える超高層ビル群も普段とは異なった感じがした。
その後、ニュージャージーターンパイクという有料高速道路に入ったが、
なんと渋滞している。土曜ということもあり、アトランティックシティなどへ
バケーションに出かける人が多いのだと思われるが、私はこのルートでそれまでにこのような
渋滞に会ったことがなかった。それほどの車の混み具合であった。ここで、
アメリカの高速道路について簡単に説明しておくと、このような有料道路は
まれで、ほとんどが無料である。この点が日本と決定的に違う点で、ちょっと
走ると、かなりの値段を要求される日本の高速道路というのは、非常に理解
しがたいものがある。土地代などの事情があるにせよ、やはり高すぎるの
ではないだろうか。
渋滞に巻き込まれたため、午後3時ごろになってもまだペンシルヴァニア州にいた。100
マイルほどしか走っていない。大幅な遅れである。その日どこまで行くかは
全く決めていなかったが、私と友人が今日ワシントンD.C.を超えてバージニアあたり
までしか行けないことは明らかだった。D.C.の手前あたりからやっとのことで車が通常
通りになったように思われたが、すでに日は暮れかかっていた。
給油のためにあるバージニアのインターチェンジで降りたが、Barnes & Noble
(本屋)を発見したために、道を調べにちょっと立ち寄ってみた。そうすると、
その店は客はそれほど多くないにもかかわらず、蔵書数はかなり多く非常に
クリーンであった。ニューヨークとの対比に驚いた。ニューヨークだと土曜の夕方
ともなればかなり客がおり、コーヒーを飲むための席を探すことにも苦労すること
が多いからである。
Barnes & Nobleを出たのが夜の8時ごろで、したがって、すぐにその日
の宿を探す必要が出てきた。リッチモンドについたためそのあたりで泊まること
にしたが、なんとリッチモンドでスラム街に迷い込んでしまった。
ダウンタウンはインターステートから少し離れており、しばらく走るとダウン
タウンの繁華街に出るだろうと甘く考えていたわけだが、これが完全な見当違
いであることに気付くまで時間はかからなかった。古ぼけたアパート、ごみが散乱
しているストリート、そこを歩いている鋭い目つきをしたぼろぼろの服を着ている
青年。”ちょっとやばいなあ”と思いつつ、一刻も早くそこから抜ける
ことを考えるが、なかなか抜けることができなかった。時々こちらを見つめる鋭い視線
に合いながら30分ほどさまよった結果、やっとのことでメインストリートに出ること
ができた。
夜のスラム街は思った以上に雰囲気が悪く、ニューヨークのハーレムよりもずっ
と危険な感じがした。やはり、ニューヨークは安全になってきているのである。つい
でに書いておくと、私の友人は、ここではないが別の町のスラム街で無理やり車
を止められた経験を持っている。特別何もなかったらしいが、そのようなことも珍しく
ないのである。
スラム街を抜けた後、夕食のためレストランを探すが、なかなか見つけることが
できなかった。やっとのことで地元のファーストフード店を見つけたのでそこに入ってみた
が、入った瞬間客の視線が私達に集中した。そのような体験はニューヨークでは
ありえないことであったが、ここではアジア系はよっぽど珍しかったようである。
その視線は”ここはイエローは立ち入り禁止だ!”と私たちに訴えているようなものであった。
結局私たちはそこから出て、他のレストランを探すことにした。ここ
で誤解を招かないために断っておくが、後で聞いた話によるとリッチモンドはダウンタ
ウン以外は本当にいいところで、白鳥のいる湖なんかもあるらしい。実際のところ、
アメリカではダウンタウンが栄えている都市というのはそれほど多くなく、ニュー
ヨークのような都市は稀である。ダウンタウンは一般的にスラム化しているところが
多く、それゆえ治安が悪いこともあって郊外に住む人が多い。郊外の自宅からオフィスまで
車で通勤する人が多く、それゆえアメリカは一部の都市を除き完全な車社会である。
そうした中、夜の10時頃だっただろうか。モーテルが集中して立地する
ストリートに出たので、そのまま適当にモーテルにチェックインし、私たちは一息ついたの
である。結局、レストランを見つけることはできなかったので、ガソリンスタンドで
サンドイッチを買ってそれを夕食にした。
私は長時間ドライブだったせいか、シャワーの後、急に睡魔が襲ってきて、いつの間
にか眠ってしまった。思えばかなり長い一日であった。
続く。
次号からの予定。
(2)ジェームズタウン、バージニアビーチ、ノースキャロライナ
(3)ノースキャロライナ、マートビーチ、チャールストン
(4)チャールストン
(5)サバンナ、ジャクソンヴィル、ペンサコーラ
(6)ペンサコーラ、アラバマ、ミシシッピ、ニューオーリンズ
(7)ニューオーリンズ、ヒューストン
(8)ヒューストン、NASA
(9)オースティン、サン・アントニオ
(10)サン・アントニオ、エルパソ
(11)エルパソ、メキシコ、ニューメキシコ
(12)アルバカーキ、サン・タフェ
(13)タオス・パブロネィティブアメリカンリザベーション、デュランゴ
(14)デュランゴ、シルバートン、ユーレイ、グランドJCT
(15)グランドJCT、モニュメントバレー、フラッグスタッフ
(16)グランドキャニオン、ラスベガス
(17)デスバレー
(18)LA、ハリウッド、ビバリーヒルズ、サンタモニカ
(19)総集編
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